標準的な住宅の新築工事で使われている防水シートには、どのようなものがあるのでしょうか。
住宅で防水シートが使用されている部分には、屋根、外壁、ベランダなどがあり、それらに使用されている防水シートの性質を知れば、新築工事後のメンテナンスや将来のリフォームにも役立つと思います。
屋根の防水シート
屋根の防水シートは一般的にはルーフィングと言われており、紙や不織布などにアスファルトを滲み込ませ、さらにアスファルトでコーティングされたものです。
現在では、アスファルトだけでなく、ゴムや合成樹脂などを添加したものも開発されており、防水性能や耐久性能が向上してきています。
ルーフィングの役割は、瓦や瓦桟などを留める時に使われる釘の周囲に密着し、雨水の侵入と雨漏りを防ぐことです。
このルーフィングの耐久年数は20年ほどと言われていますが、瓦の割れや乱れなどがある場合、劣化が進み防水性能が低下すると共に、耐久年数が減少するため、新築工事後には定期的な瓦のメンテナンスが重要だと言えます。
外壁の防水シート
現在の外壁防水シートには、透湿・防水シートが使われているのが一般的で、湿気を通し水滴は通さない性質があります。
これは、湿気(水蒸気)と水滴のそれぞれの粒子の大きさを利用したもので、外壁の通気工法と併用する形で20数年まえから普及し始めました。
初期の透湿・防水シートは、防腐・防蟻処理剤で劣化しやすい欠点がありましたが、現在では改良されており、適正な使用では10年以上の耐久性があると言われています。
なお、正常な状態では通気層や外壁材で守られていることから、実際の耐久性はそれ以上にあると推測されます。
ベランダの防水シート
標準的なベランダに使われている防水シートの材質は、塩化ビニール系や合成ゴム系が多く、下地に接着剤を塗って貼られ、シートの接合部は薬剤や熱で溶かして圧着されます。
防水シートそのものは柔らかく薄いものですから、ベランダ椅子の脚などで強い圧力が集中した場合には破損させる恐れがあるため注意が必要です。
なお、そのように防水シートを傷つける恐れがある場合は、新築時から人口芝やデッキ材などで保護しておくことをお勧めします。
まとめ
住宅の新築工事に使われる防水シートには、屋根にルーフィング、外壁に透湿・防水シート、そしてベランダには塩化ビニール系や合成ゴム系の防水シートがあります。
それぞれの防水シートには、使用される場所に適した性質があり、適切なメンテナンスや正しい使用方法が耐久性を損なわず、防水性能を劣化させないことに繋がります。